「UAE、ドバイ北部に、第二の黄金都市を構想。」 建築家、高尾瞬の未知なる戦い。■「想像がつかないことをやろう。」 想像がつかないことを やろうと考えた結果、 前代未聞、 想像がつかないので 動きようにも行動しようにも、 「何もできない。」 一体何から手をつけていいのかもわからない。 情報収集をかねて、 本屋、インターネット、新聞、 町を歩いたり、自転車で走ったり、 それらすべて、 見たものは、 すべて想像につくこととなってしまう、 自分なりの解釈がついてしまうのでダメ、 解釈がついてしまえば 動けないのです。 答えが見えた瞬間、 先が見えた瞬間に、行動できなくなる。 これが最大の壁であった、 誰にもできないこと、 想像もつかないことをやろうとすると 不可能にたどり着く。 「一体どこから何を始めればいいのかもわからない。」 せめて活字にすることが出来れば、、、、 今まで見てきた情報、 取り入れてきた知識、 手にした文章力で 何か道なるものを創り出したしたかったが、 それすらも及ばない壁であった。 想像もつかないこと、 悲痛なる自問自答、、 誰にも相談することもなく、 すべてを一人で決めていかなければいけなかった。 何かしらの感覚で勝負せざるを得なかった、、、、。 「UAE、ドバイ北部に、第二の黄金都市を構想。」 建築家、高尾瞬の未知なる戦い。 第二部、スタート。 [麻山工業株式会社 代表取締役 高尾瞬] ■「環境は苛酷であった。」 UAEの視察も今回で12度目を迎えていた、 何度見ても、環境は苛酷そのもの、 初めてUAE都市計画予定地、 バージル地区を訪れた時と 何も変わらない環境であった、、 「こんな場所に本当に都市を 計画することが出来るのだろうか?」 「この場所に、ドバイに次ぐ 第二の黄金都市を計画するなんて、、、 神への冒涜ではないだろうか。」 不安ばかり先行するが 私はUAE政府からの依頼を受けた一人の 建築家としての任務だと言うことを意識した、、 私がどう思おうと関係なく、 そこには繁栄の為の新たなる都市が必要であり、 アラブ人の彼らにとっては 苛酷な環境でない。 これが正しい意見であると思う。 「住めば都。」 たとえコンビニがなくても、 お気に入りのレストランと本屋、 ランニングが出来る海岸があれば、 それで何もいらない。 黄金の砂の上に、 命の源の太陽がある。 昼間は50度を越す強烈な空間。 環境に適した新たなる民族も生まれる。 着工まで5年、、。 自問自答を繰り返す日々、 毎日が苦悩と不安の連続、、。 逃げても良かったが、 逃げる場所も残されていない。 続く、、、、 「UAE、ドバイ北部に、第二の黄金都市を構想。」 建築家、高尾瞬の未知なる戦い。 [麻山工業株式会社 代表取締役 高尾瞬] ■「地図にない国、コマーシャルキャピタル。」 砂以外何もない、、 バージルには正真正銘、砂以外何もない土地であった、 ここに人間の必要なものを一つ一つ 揃えていく、 まずは人が滞在するには水や食料、寝床が必要だった、 この場所から40分ほど東に進むと、 アラブ不動産王のシャーム一家の大豪邸がある、 バージルとシャーム一家の中継地に当たる、 リフレックスという場所に、 作業員の居住地および、建設本部を構えることとなった、 シャーム一家が滞在する地域から、 水道管を引き、 電気は大量のソーラーパネル設置が予定され、 そして石油パイプラインから ガスが引かれた、 作業用の道が建設されると、 一気にバージル地区へのアクセスが 楽になった、、 今まで道もない砂漠を4WDで 永遠と走らなければいけなかった。 5回目の訪問時には、 タイヤが運悪くパンクをして、 灼熱の砂漠の中を、2時間立ち往生、 「このまま干からびて、死ぬのもいいかもな。」 そんな事を考えていた、 この地にドバイに次ぐ第二の黄金都市を 築くと言う計画、 住居が大半を占める、ベットタウンの建設ではなく、 商業都市、コマーシャルキャピタルの都市計画であっため、 可能となる出来事であった、 海も川と少し離れているだけで、 日中の気温は灼熱になる。 新しい油田の開発の中継拠点としての都市計画であった、 なのでアブラハムからの依頼は、 次世代、近未来を追及して欲しい、 そんな依頼が強かった、、、 アブラハムに招待していただいたディーナーで 彼が何度も口にしていた言葉が思い浮かぶ、、、 「幻想的、コマーシャルキャピタルを創って欲しい。」 事あるごとに彼はその事を豪語するのであった、、、。 続く、、、、 。 [麻山工業株式会社 代表取締役 高尾瞬]■「言葉で地図にない国を建設。」 やはり言葉が重要であった。 バージルにどんな都市を誰のために、 そしてどのように建設していくか、、、 あふれかえる活字で表現できれば出来るほど 今後に向かう進路が明確になる。 出てくる不安を、 言葉で徹底的に 解決していく作業の連続であった、、、 バージルに続く道が建設され、 人の出入りが増えた、 不動産所有者、自動車会社社長、油田開発者、 ドバイ近郊に住む重要人物がここを訪れ、 全員が全員、 「本当にここに創るの?出来るのかよ?」 といった不安と疑いを交えた表情で私に語りかけた。 簡単だよ、 念密な計画さえあれば、、 測量の時点で、 バージルが他の地域以上に風や竜巻、 砂嵐が多い事が気になっていた、 風量が多過ぎれば、 建物の向きも都市全体の計画性も変わってくる。 雪国で窓が2重になるのもお分かりだと思うが、 砂漠なら砂漠なりの問題も多々ある。 灼熱の太陽による耐熱ガラスの確保、 さらには昼間と夜の気温差、 これらをカバーするのに、 私たちは主力の材料に、 レアメタルを多く含んだ特殊アスファルト、 メタファルトという材料を使うことになった。 通常のアスファルト、 コンクリートより強度は5倍以上と言う実験結果、 急激な気温の温度差にも強い、 近未来の材料を早くも取り入れられた、 とてもじゃないが、木造など相手にならなく、 砂漠の上に都市を建設するには近郊から取れる、 鉄鋼資源、石油製品を多く使うことになる。 バージルは水がない砂漠地帯であるが、 鉄鋼や地下資源が豊富、 石油もあるので、 割かし恵まれた資源を容易に、 さらには安価で手に入れる事できた。 日本であれば資源はほぼ海外輸入が多く、 物流、ロジスティックペイに多大な費用がかかる。 ここバージルではその価格も 半分以下に抑えられる。 特定の条件を除けば、 都市を建設するにはかなりのポテンシャルを 秘めた地域であることは間違いなかった、、、 ただ一つ、 特定の条件を除けばの話だが、、、、、。 続く、、、、。 [麻山工業株式会社 代表取締役 高尾瞬]■「なぜ、彼は私を都市計画に招きいれたのか?」何度も何度も私はアブラハムと顔を合わせ ミーティングをした、 私たちは互いに異国で育ったもので、 妙にソリやフィーリングが合い、 ビジネスパートナーと言うよりも親戚や親友に近い感じがした。 エジプト、ダハブで行われた都市計画カンファレンス終了後、 私はアブラハムと二人でいつものシーシャバーで 更なる話し合いをしていた、 その時、私はこの都市計画事業に携わる前に、 なぜ、私を呼び寄せたのか聞いてみたかった。 「なぜ私を今回の事業に呼んだのだい?」 私は率直に聞いた、 アブラハムは銀色の取っ手のガラスの水パイプを口元からはずし、 大火災のようなシーシャの煙を上に吐き、笑いながら言った。 「お前の才能さ、、、。オーストラリアで働いた時を覚えているかい? 仕事に一生懸命の瞬の姿を見ていたからだ。」 「私はお前を信用している、、。 前回の私の別荘の仕事、とても気に入っている。 なのでもう一度お前を使ってみたかっただけだ、、。」 特に込み入った理由ではなく、 シンプルな依頼であったらしい、、 私とアブラハムは以前、 オーストラリアの農場で一緒に働いた経験がある。 早朝、日が出る前のパイナップルファームで、 完熟したパイナップルをピッキングすると言う仕事だった、、。 ハードな仕事だったが、 互いに協力して頑張った、、、 お互いが異国育ちと言うこともあり、 妙に気が合い、色々と話すようになり、 親睦を深めるようになったのだ、、、 その彼と出会ってちょうど10年の月日が経っていた、 アブラハムの3個目の住宅を手がけ、 そして今回の都市計画に呼ばれたのだった、、、、 旅先でのヒョンな出会いから一国の都市計画、 建国までまかされるなんて、人生とはまったく不思議なものだ、、 私もまたシーシャの煙を天井に向かって吐き、 これからのプロジェクト進行について考えを巡らせた、、、、。 ラクダが重い荷物を背負ってエジプト、 ダハブの海岸線を歩いていた、、。 「UAE、ドバイ北部に、第二の黄金都市を構想。」 建築家、高尾瞬の未知なる戦い。   続く、、、、。[麻山工業株式会社 代表取締役 高尾瞬]■「各国の建築家をまとめ上げる困難。」 プロジェクトリーダーとして 特に困難なミッションは各国の 建築家をまとめ上げるというところだった、 それぞれのサイト、 バージルを九つの区間に 仕分けることにした。 123 456 789 治安維持のため、 警察署、消防署はそれぞれ 右端1番、左端3番、 そして左した7番、そして右下の9番。 四区間にセキュリティー関連の施設を建設、 そして中央に病院等、役所等を設置することになった、 各国の建築家を呼び寄せ、 主要の建物、コマーシャルビルディングを担当してもらう、 コンペ形式で、 自由参加も認めることにした、、、 先進性、次世代、近未来と言うキーワードをいくつか交え、 砂漠に浮かぶ第二の黄金都市、 として各国の建築家に デザイン案を競い合って提出してもらい、 いくつかを選び抜いていく、というコンペ形式にした。 戦後焼け野原となった日本は 世界中の建築家の腕試しの場所として 乱立が目立ったが、 はじめから何もないバージルでは、 土地の区画整備に多大なる時間を費やした、 基本、京都のような碁盤の目にし、 要所にアクセントを加えるインフラとなった、 この時点でまともな区画整備がされていないと 都市がいびつな構造になる。 鎌倉や川越といった、 城下町の建築、都市計画も大いに参考になった、 これはいくら見ても見ても見たりない、、 着工までの年月 さらに私は都市の構造について 研究した、、 ビルの内装や、外装といった 建築構造が今回の私のメイン業務ではなく、 都市のインフラ関連、犯罪予防で 近未来に相応しい都市計画を推進することが 今回の私の任務であった、、 個性ある建築家が集められた、 本来、建築とは土地に対してパブリック、 公共のものなので、 個性というより、いかにして周りとなじんで、 違和感がないか、それが人々に価値を提供する建物か、、 と言う議論がもたらされるが、 今回のバージル地区は 不毛の大地からのスタートであり、 コマーシャルキャピタル、と言う点で、 アート色が非常に強い建築も 大いに受け入れると言う方針になっていた。 着工まで5年間、、、 先日出来上がった道路の隣には、 大きな看板が建てられた、、、 「ハイパーリアルエステート・バージル」 何が起こるかわからない未知のプロジェクトが 今、始まろうとしていた。 「UAE、ドバイ北部に、第二の黄金都市を構想。」 建築家、高尾瞬の未知なる戦い。   続く、、、、。 [麻山工業株式会社 代表取締役 高尾瞬]■「砂漠に森を作る。」 灼熱の太陽、昼間は50度を越す、 地獄のような環境、 「森を作りたい。」 アブラハムは力強く言った。 森、、、大体の想像はついていた、 都市を築く、という理想を実現するには 砂漠にない何かを 新しく求めるのは当然で オアシス、水や森、 現代技術ですでに可能となっている、 海水を一瞬で淡水に変え、 そしてパイプラインで砂漠に水を流し込む、 今回は淡水運河の引き入れも同時に行われ、 遺伝子組み換え、理想的な都市の木々を 演出する植物が道路沿いに植えられた。 木々を植えることで、 バージル近郊、 周辺の気温を3度から4度下げることができた。 さらには道路脇のコンクリート下に、水のパイプラインを引き、 打ち水と同じように、朝、昼、晩と、水をフローさせる。 熱いながらも、涼しい風の通る都市に 生まれかわることを可能にさせた。 ここでの研究成果が出たのは 今、世界の建築家が注目してやまない、 シンガポールの町並みが参考になった。 シンガポールでは 都市の外資収入策として、 都市の美しさを前面に出すと言うスタイルで 世界の人々を魅了した。 外壁に緑、道路にも緑、 森や植物との一体をイメージした都市計画により 見事、美しい町並みを手に入れ、 誰もが住みたくなる、何度も訪れたくなるような 都市が完成したのだった。 蜃気楼の上にオアシスが浮かび上がる、 そして人類の手で、 その上に黄金都市を作り上げる計画が 実現していくのであった。 続く、、。[麻山工業株式会社 代表取締役 高尾瞬]